王子を甘やかせ隊

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第8話:城の家宝、フリマアプリでドナドナされる。

おはなし

王国の再興。
その甘美な響きとは裏腹に、現実は常に冷酷である。

前回の報告で「収益0円」という、もはや芸術的ですらある数字を叩き出した我が王子。
ついに城の厨房からは、愛用していた15円のもやしすら姿を消そうとしていた。

食卓に並ぶのは、シェフの涙で塩気が増した「ただの白湯」。
空腹に震える王子と、その傍らで静かに狂気を孕んだ眼差しを見せる大臣。

大臣
大臣

王子……もはや、手段を選んでいる場合ではありません。

大臣が取り出したのは、かつての魔導書ではなく、現代の魔法端末――スマートフォン。
そこには、名もなき民たちが欲望と安さを求めて集う修羅の国『メルカリ』のアプリが開かれていた。

王国に伝わる数々の秘宝を、送料込みの小銭に変える。
それは、誇り高き王家にとって、もっとも過酷で世俗的な「戦い」の始まりであった。


王子の独白と騒動

王子
王子

大臣、まさか……僕サマの宝物を売るつもりじゃないよね!?

大臣
大臣

背に腹は代えられません。
見てください、この『王家秘伝・純銀のスプーン』を。
これなら金貨数万枚にはなるはず……!

しかし、現実は非情だった。

【出品:王家秘伝のスプーン】

  • 大臣の設定価格:300,000円
  • 民のコメント
    • 「これ、100均のと似てますねw」
    • 「傷が多いので送料込み300円なら検討します」
    • 「ブランド刻印がないので本物か怪しいです。通報しました」
大臣
大臣

なっ……!
貴様ら、これが王家の血筋を支えてきた由緒正しきスプーンだと知っての狼藉か!

大臣がスマホに向かって叫ぶが、返ってくるのは無慈悲な『いいね!』の通知だけ。

さらに、執事までが参戦してきた。

執事
執事

王子、安心してください。
私が夜なべして折った『折り鶴(王家の祈り入り)』を3,000円で出品しておきました。

王子
王子

……閲覧数が0だよ、執事。

専用ページの試練

そんな中、ついに1つだけ売れそうな気配が!
売れ残っていた『先代王の愛用したナイトキャップ(洗濯済み)』にコメントがついた。

「購入希望です。専用ページ作ってもらえますか?」

大臣
大臣

せ、専用ページ……?
王子、これは何かの儀式でしょうか!?
城の中に特定の民専用の部屋(ページ)を建築せねばならぬのですか!?

慌てふためく大臣。
ネットで必死に「専用ページ 作り方」を検索する姿は、かつての威厳など微塵も感じられない。

結局、苦労して発送したナイトキャップは、送料と手数料を引いたら利益はわずか「金貨(10円玉)数枚分」。

大臣
大臣

……王子。
メルカリの民は、我が国の騎士団より厳しいかもしれません……。
やはり、地道にブログでおねだりするしか、道は残されていないようです……。


おわりに

かくして、王国の秘宝たちは「送料」という名の魔物に食われ、わずかな金貨へと姿を変えた。
手元に残ったのは、家宝を失った虚無感と、大臣の指に刻まれた「梱包用テープ」の跡だけである。

もはや、不用品を売って食いつなぐフェーズは終わった。
自らの身を削る切り売りでは、真の王国再興など到底叶わぬ夢。

王子の瞳に、これまでになかった微かな「覚悟」が宿る。
……いや、それはただの空腹による幻覚だったかもしれない。

だが、この「メルカリの敗北」が、王子をさらなる暴挙――もとい、大胆な次の一手へと駆り立てることになるのを、この時の彼らはまだ知る由もなかった。


王子のマカロンへの道、応援してくれるなら……今すぐ入隊してよね!

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