熱帯夜

ワガママだった

眠れない日々は ただ広がり
この身すべてを吸い込むように
僕は引き寄せられる

何も悩んでることなどない
不安も 苦しむほどではない
なのに寝苦しいのは
壊れたクーラーのせいなのか

シーツが汗ではりついて
よけいに心を責めるよう

電話からはまた
機械の声が流れ
無言の部屋を 
秒針だけが駆け回る 

寝返りばかりをくりかえし
まるで壊れたおもちゃのよう

天井に光が走り
道行く車は止まらない

壁は蒼く染まり
テレビは砂嵐ばかり
疲れて目を閉じても
眠れないのはどうしてだろう

どうしても考えてしまう自分を
口癖のように同じ結論が包み
正確すぎる時間の音だけが
また眠れずに迎える朝を知らせる

つながらない電話だけが
いまだ時間を止めたまま
魅力的なほどに眠れぬ夜に 
落ちてゆく

シーツが汗ではりついて
心を責める 熱帯夜

サヨナラを決めたはずなのに
気になって仕方ない

2000/11/21

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